健康診断で腹囲で測り、メタボリックシンドロームの可能性があるかどうかを調べますが、実際には腹囲が大きいから該当し小さいから該当しないというものではないのです。メタボリックシンドロームはb肥満や内臓脂肪の量の多さを基準にしていますが、それだけではなく血圧や血糖値の高さ、血液中の資質異常なども関係します。ではなぜ内臓脂肪や血圧、血糖値が高いとメタボリックシンドロームといわれ、注意をしなければいけないのかをわかりやすく解説します。
日本人の死因の3大トップはガンと心疾患それに脳卒中ですが、特に心疾患と脳卒中はメタボリックシンドロームが原因となって発症することがほとんどです。高血圧や高脂血症を放置していると、血液がドロドロになり血管も厚く硬くなっていきます。血管が硬く厚くなる状態を動脈硬化というのですが、血管の中で脂質分が固まって血管の壁にプラークとしてへばりつき、そのために血液の流れが悪くなります。それと同時にプラークがはがれて血流とともに心臓や脳の動脈にとび、そこで引っかかってしまえば血流を止めてしまって血管が破れたり、血流が行かなくなって心臓や脳の細胞が壊死してしまいます。その状態が脳梗塞や心筋梗塞で、命に係わる重篤な状態を引き起こします。脳と心臓だけでなく腎臓の中にある細い血管も硬化が起こり機能が衰えていく腎硬化症になったり、足がしびれたり歩行困難になる閉そく性動脈硬化症になる可能性があるのです。
血糖値が高ければ糖尿病になる確率が高くなります。糖尿病になると、摂取したエネルギーがうまく代謝されなくなります。膵臓から出されるインスリンが正常に働くなくなるからです。糖尿病には1型と2型があり、1型は体質の関係で起こり2型はほとんどの糖尿病の人のタイプで、体質もありますが多くは食生活や良くない生活習慣が原因で起こります。糖尿病になると失明や神経障害、腎臓障害などの合併症を起こしやすく、心臓病や脳卒中になる可能性も高くなります。しかし、しっかり血糖値をコントロールできていれば合併症を予防することもできます。
心疾患や脳卒中、糖尿病などは生活習慣病といわれていて、食生活や運動、飲酒や喫煙などの生活習慣を改善することで予防をすることができます。腹囲や血液検査などからメタボリックシンドロームと指摘されれば、生活習慣病を引き起こす可能性が高いので食生活などの生活習慣に注意が必要ということになります。
さてメタボリックシンドロームの原因と対策についてですが、原因は食生活などの生活習慣にあります。食生活に関しては肉類など脂肪分の多い食事をとりすぎたり、カロリーの摂りすぎが主な原因です。若いころは新陳代謝が活発なので、脂肪やカロリーを取りすぎても燃焼や排せつがスムーズでしたが、加齢とともに代謝が落ちてくると燃焼も排泄もされずにどんどん体内に蓄積されてしまいます。それが内臓の周りや血管にもついて、脂肪分の多い体になるのです。燃焼や排せつをするためには、意識して野菜など食物繊維の多い食材をたくさん摂取したり、腹八分目以下に抑えてカロリーを取りすぎないようにすることが大切です。また適度に運動をして脂肪を燃焼させ、エネルギーを使っていく必要もあります。ただし運動もあまりやりすぎると、エネルギーの燃えカスである活性酸素がたまっていき細胞を劣化させるので良くないのですが、毎日コツコツと歩いたり階段を昇り降りする、ラジオ体操をするなど日常生活の中でできることを毎日適度に行うようにしましょう。
飲酒の量や喫煙量を控えることも重要です。特にタバコに関しては百害あって一利なしといわれるように、呼吸器を傷めるだけでなくがんや心疾患、脳卒中など様々な病気の原因となります。そのためわざわざ生活習慣病を招くような喫煙は、できるだけ避けることが勧められます。
そのほか十分に睡眠をとり、ストレスを過度にためすぎないことも大切です。睡眠不足は生活習慣病を招く可能性が高いといわれます。睡眠中には成長ホルモンが分泌されますが、それは子どもの背を伸ばすだけではなく細胞の修復や疲労回復の働きがあるのです。成長ホルモンは若返りホルモンともいわれ、細胞が修復されると老化した細胞も若返ります。細胞が若いと代謝も良くなり、余分な脂肪やカロリーを燃焼したり排せつしたりすることにもなります。質の良い睡眠をとるためには、リラックスした状態で眠りにつくことが重要です。ぬるめのお風呂でゆっくりと浸かったり、軽くストレッチをしてして手首や足首を伸ばすこともリラックスして質の良い睡眠をとるための対策の一つになります。そして過度なストレスは暴飲暴食や飲酒量、喫煙量の増大を引き起こしやすくなり、その分多くの脂肪やカロリーを取ってしまいます。それにストレスは活性酸素を多く出してそれが体内に蓄積されると、細胞を劣化させ内臓の働きも悪くなって代謝を悪くするのです。このように食生活や運動などの生活習慣を改善することがメタボリックシンドロームの改善や予防になり、さらには重篤な病気を予防することができるのです。