政府の新型インフルエンザ等対策有識者会議の下に設置された組織である「新型コロナウイルス感染症対策分科会」は、感染状況を判断する目安として感染状況を4段階に区別しており、数字が大きくなるにつれて深刻な状況と言えます。
感染拡大を効果的に抑え込むためには、感染者が急増する前の段階における対策が重要とされています。
警戒ステージ
この指標を示す目的は大きく2つあり、十分に制御可能なレベルに感染拡大を抑制するとともに、死亡者・重症者数の最少化に努めるため、早期の対策により感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指すためです。
ステージを判断する指標として、
1、「病床のひっ迫具合」
2、「療養者数」
3、「PCR検査の陽性率」
4、「新規感染者数」
5、「直近1週間と前の週の感染者数の比較」
6、「感染経路が不明な人の割合」
の項目を挙げています。
感染拡大に伴い国の指標とは別に、東京都や大阪府、その他主要都市にて独自の指標を設定している場合もあり「ステージ」が混在するという事態に国民の中でもどっちを優先したら良いのかわからなくなっています。
新型コロナウイルス感染症対策分科会は「国のステージは、全国共通の対策について、地域ごとに検討する際に必要である一方、都道府県ごとの独自のステージは、地域によって大きく異なる医療体制の状況を反映して決められており、役割が異なる。混乱することもあるかと思うがまずは各地域の指標と、それをもとに発信される知事などからの呼びかけに注意してほしい」としています。
なお、緊急事態宣言の対象となるのは、爆発的感染拡大とされる「ステージ4」からです。
ステージ1
散発的:感染が確認されたので注意が必要しましょう!
感染者が散発的に発生。医療提供体制に大きな支障がない段階といえます。感染状況などを踏まえて、感染予防の徹底などについて注意喚起。
ステージ2
漸増:感染者が増えてきているので注意しましょう!
感染者の漸増及び医療提供体制への負荷が蓄積する段階。特措法第24条第9項に基づく要請。感染状況を踏まえたより強い行動変容に対する協力を要請。
ステージ3
急増:感染者が急増中のため不要不急の外出を控えて下さい!
感染者の急増及び医療提供体制における大きな支障の発生を避けるための対応が必要な段階。特措法第24条第9項に基づく要請。事業者に対する施設の使用制限など強い協力を要請。
ステージ4
爆発的:危険な状態です!営業時間短縮して下さい!
爆発的な感染拡大及び深刻な医療提供体制の機能不全を避けるための対応が必要な段階。特措法第24条第9項に基づく要請。国の緊急事態宣言を踏まえ、さらに強い協力を要請。
新型インフルエンザ等対策特別措置法の目的及び第24条第9項は次の通りです。
新型インフルエンザ等対策特別措置法
平成二十四年法律第三十一号 新型インフルエンザ等対策特別措置法より抜粋
(目的)
新型インフルエンザ等対策特別措置法
第一条 この法律は、国民の大部分が現在その免疫を獲得していないこと等から、新型インフルエンザ等が全国的かつ急速にまん延し、かつ、これにかかった場合の病状の程度が重篤となるおそれがあり、また、国民生活及び国民経済に重大な影響を及ぼすおそれがあることに鑑み、新型インフルエンザ等対策の実施に関する計画、新型インフルエンザ等の発生時における措置、新型インフルエンザ等緊急事態措置その他新型インフルエンザ等に関する事項について特別の措置を定めることにより、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「感染症法」という。)その他新型インフルエンザ等の発生の予防及びまん延の防止に関する法律と相まって、新型インフルエンザ等に対する対策の強化を図り、もって新型インフルエンザ等の発生時において国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的とする。
(都道府県対策本部長の権限)
第二十四条 都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、当該都道府県及び関係市町村並びに関係指定公共機関及び指定地方公共機関が実施する当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策に関する総合調整を行うことができる。2 前項の場合において、関係市町村の長その他の執行機関(第三十三条第二項において「関係市町村長等」という。)又は関係指定公共機関若しくは指定地方公共機関は、当該関係市町村又は関係指定公共機関若しくは指定地方公共機関が実施する当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策に関して都道府県対策本部長が行う総合調整に関し、当該都道府県対策本部長に対して意見を申し出ることができる。
3 都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し、指定行政機関又は指定公共機関と緊密な連絡を図る必要があると認めるときは、当該連絡を要する事項を所管する指定地方行政機関の長(当該指定地方行政機関がないときは、当該指定行政機関の長)又は当該指定公共機関に対し、その指名する職員を派遣するよう求めることができる。
4 都道府県対策本部長は、特に必要があると認めるときは、政府対策本部長に対し、指定行政機関及び指定公共機関が実施する新型インフルエンザ等対策に関する総合調整を行うよう要請することができる。この場合において、政府対策本部長は、必要があると認めるときは、所要の総合調整を行わなければならない。
5 都道府県対策本部長は、第一項の総合調整を行うため必要があると認めるときは、政府対策本部長に対し、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な情報の提供を求めることができる。
6 都道府県対策本部長は、第一項の総合調整を行うため必要があると認めるときは、当該総合調整の関係機関に対し、それぞれ当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施の状況について報告又は資料の提出を求めることができる。
7 都道府県対策本部長は、当該都道府県警察及び当該都道府県の教育委員会に対し、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を実施するため必要な限度において、必要な措置を講ずるよう求めることができる。
8 都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、指定行政機関の長又は指定地方行政機関の長に対し、これらの所掌事務に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な要請をすることができる。
9 都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。
新型インフルエンザ等対策特別措置法
新型コロナウイルスの感染拡大に対応して罰則を設ける特別措置法と感染症法の改正案が、2021年2月3日午後の参院本会議で成立しました。
感染症法の改正案では、入院の拒否や、濃厚接触者を特定するために保健所が行う疫学調査の拒否に過料を設けました。
特措法の改正案では、緊急事態宣言下で都道府県知事からの営業時間の短縮の命令に応じない場合、新たに過料を定めています。宣言前でも過料を科す「まん延防止等重点措置」も設けています。