反抗期とは子供が大人の指示を拒んだり抵抗したりなどする言動が目立つ期間で、同時に子供が精神的に成長している証です。子供の頃は自我が薄く、大人の指示に従いますが、自我が成長すると「自分はこう思う」と主張していきます。その伸びしろになっている時期が反抗期です。
親からすれば子供とは対立せず、穏やかに過ごしたいと願うかもしれませんが、未成年であるうちに苦労しておくことをお勧めします。先述している通り、反抗期とは自己主張や実行力など社会で生きていく力を育んでいく大事な実地訓練です。しかし、なかには反抗期を迎えずにそのまま大人になるパターンもあります。
反抗期を迎えなかった原因は2種類あり、1つは不満がなかったから、もう1つは我慢していたからです。不満がなかったから反発しなかった背景には親子の考え方や価値観が一致しているケースが確認されているものの、もう1つ、自分の意見を持っていないケースも確認されています。自分の意見を持っていないということは自我が年相応に成長しておらず、社会に出たら苦難に翻弄(ほんろう)されかねないです。我慢していたから反発しなかった背景には、親と対立することに罪悪感を持っている場合と親の干渉が強い場合が挙げられます。親と対立することに罪悪感を持っている場合はまだ矯正できる見込みがあるものの、干渉が強い場合は後々トラブルになるリスクが高いです。動機はどうあれ、子供の自己主張を押しつぶせば「自分は何もしなくていいんだ」と子供は思い込むようになります。そうなれば最後、「親が何かと構うから」といった経験から大人になっても、働かなくなってもおかしくないです。勿論反抗期を迎えなくても人間関係が円滑に進められるどころか、出世している人もいますが、自己主張できる環境を用意しないと癇癪(かんしゃく)や暴力によって感情表現やコミュニケーションを表現する可能性が十分あります。つまるところ子供が大人の指示を否定し、自分の意見を持ち始めるのは歓迎すべき出来事というわけです。
そんな子供の反抗期は、「第一次反抗期」と「第二次反抗期」という2回にわたって起こります。「第一次反抗期」とは幼児期、もとい2歳から4歳ほどがなりやすい年齢です。この年齢の子供は「イヤイヤ」と首を横に振るったり、泣き出してその場で寝転んだりなど親を悩ませることが多くなります。別名「魔の2歳児」とも「イヤイヤ期」とも呼ばれていますが、それらすべての言動が自我が芽生えている何よりの証拠です。赤ん坊だった子供が自分の感情や主張を持ち、それを親しい人間である親にぶつけ、失敗と成功を積み重ねています。とはいえ親のストレスは凄まじく、分かっていたとしても苛々してしまい、放置や無視をしてしまうケースはあるものです。しかし接し方としては放置や無視は悪手で、放置や無視された子供は「自分は愛されていないんだ」とショックを受けます。「イヤイヤ期」、もとい「第一次反抗期」における反発のなかには「自分に構ってほしい」というアピールもあるからです。そのためどんなにストレスでも放置や無視はせず、子供に付き合うのがベストな接し方となります。例えば子供がお菓子が欲しくて寝転んだりするなら事前に「今日はお菓子を買わない」と約束し、守れなかったら「約束したでしょう」と叱り、守れたら「よく出来たね」と褒めます。それでもグズるようであれば「また今度ね」と言い、次の買い物で購入してあげるのがお勧めです。ポイントは子供の気持ちを尊重しつつ、社会的なルールやマナーを根気よく教えることに尽きます。
かなり辛抱強く付き合わなくてはならないものの、それが思春期の「第二次反抗期」も同様です。おおよそ11歳から15歳ほどがなりやすい年齢で、体の変化とともに言動もまた変わっていきます。子供でも大人でもない思春期はあらゆることに対して敏感で、明らかに様子がおかしい時もありますが、親の接し方としては見守るだけです。「勉強はどうだ」や「学校は楽しいか」と尋ねたところで、思春期の子供には鬱陶しく、跳ね返します。親にとっても子供にとっても互いに干渉しないことが「第二次反抗期」の基本的な過ごし方です。幼児期とは異なり、何も言わずに見守るだけというのは心苦しいかもしれませんが、子供も現状に苦しんでいます。ポイントは日頃は突き放した態度をとる子供が相談や頼みを持ちかけてきたら、耳を傾けることです。どんなに大人ぶっていても、子供は親に助けを求めます。それは親を信頼し、認めている証拠です。たとえ日頃の恨みがあったとしても、それは水に流し、子供の話を耳を傾ければ信頼関係を維持できます。
このように子供の反抗期は親のストレスが凄まじいものの、後に起こるかもしれない反動を考えれば向き合っていくべき時間です。子供を一人前にするためにもまずは相手の気持ちや考え方を否定せず、そのうえで自分の気持ちを伝えていけば自ずと反抗期は終わっていきます。