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感染症法による分類と政府の感染症対策概念

感染症の予防及び感染症対策、感染者に対する医療に関する法律に「感染症法」があります。

日本における感染症対策は、1897(明治30)年、集団としての感染症のまん延防止に重点を置いた「伝染病予防法」が制定されます。

その約100年後の1997(平成9)年、感染症を取り巻く世界的な状況の変化により公衆衛生審議会意見を踏まえ、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が制定されました。いわゆる「感染症法」です。

下記、厚生労働省記載

感染症法では、国、地方自治体等関係機関が連携して、ふだんから感染症の発生・まん延を防止するための施策を講ずることとされており、国は感染症発生動向調査の充実を図り、国民や医療関係者に感染症予防のために必要な情報を提供することとされている。また、治療等に当たっても、個々の国民の感染予防・治療に重点を置き、患者の人権に最大限配慮するため、各感染症の感染力や症状の重篤性等によりきめ細かく分類した上で、必要な対応を行うこととされている。

厚生労働省

政府は感染症を分類化することで感染症に対する予防および対策を講じ、かつ医療従事者、国民が予防及び対策を講じる必要性を述べています。

感染症法に基づく類型

一類感染症から五類感染症、指定感染症、新型インフルエンザ等感染症に分類されます。

一類感染症

感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な観点から見た危険性が極めて高い感染症。

【感染症名】 エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、南米出血熱、重症急性呼吸器症候群

二類感染症

感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な観点から見た危険性が高い感染症。

【感染症名】 急性灰白髄炎、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。)、中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。)、鳥インフルエンザ(H5N1)、鳥インフルエンザ(H7N9)

三類感染症

感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な観点から見た危険性は高くないが、特定の職業への就業によって感染症の集団発生を起こし得る感染症

【感染症名】 コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス

四類感染症

人から人への感染はほとんどないが、動物、飲食物などの物件を介して人に感染し、国民の健康に影響を与えるおそれのある感染症

【感染症名】E型肝炎、A型肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、炭疽、鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザ(H5N1)を除く。)、ボツリヌス症、マラリア、野兎病

【法律ではなく政令による分類】 ウエストナイル熱、エキノコックス症、オウム病、オムスク出血熱、回帰熱、キャサヌル森林病、コクシジオイデス症、サル痘、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、腎症候性出血熱、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、チクングニア熱、つつが虫病、デング熱、東部ウマ脳炎、ニパウイルス感染症、日本紅斑熱、日本脳炎、ハンタウイルス肺症候群、Bウイルス病、鼻疽、ブルセラ症、ベネズエラウマ脳炎、ヘンドラウイルス感染症、発しんチフス、ライム病、リッサウイルス感染症、リフトバレー熱、類鼻疽、レジオネラ症、レプトスピラ症、ロッキー山紅斑熱

五類感染症

国が感染症発生動向調査を行い、その結果に基づき必要な情報を国民や医療関係者などに提供・公開していくことによって、発生・拡大を防止すべき感染症

インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)、ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を
除く。)、クリプトスポリジウム症、後天性免疫不全症候群、性器クラミジア感染症、梅毒、麻しん、メチシリン耐性黄色ブドウ球
菌感染症

【法律ではなく省令による分類】アメーバ赤痢、RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、急性出血性結膜炎、急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバ
レー熱を除く。)、クラミジア肺炎(オウム病を除く。)、クロイツフェルト・ヤコブ病、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、細菌性髄膜炎、ジアルジア症、侵襲性インフルエンザ菌感染症、侵襲性髄膜炎菌感染症、侵襲性肺炎球菌感染症、水痘、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、先天性風しん症候群、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、破傷風、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、百日咳、風しん、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、へルパンギーナ、マイコプラズマ肺炎、無菌性髄膜炎、薬剤耐性アシネトバクター感染症、薬剤耐性緑膿菌感染症、流行性角結膜炎、流行性耳下腺炎、淋菌感染症

指定感染症

鳥インフルエンザ(病原体がインフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスであってその血清亜型がH7N9であるものに限る。)

【法律ではなく政令による分類】 一~三類および新型インフルエンザ等感染症に分類されない既知の感染症の中で、一~三類に準じた対応の必要が生じた感染症

新型インフルエンザ等感染症

新型インフルエンザ、再興型インフルエンザ

感染症対策の基本概念

政府の行う感染症対策は大きく分けて「水際対策」と「国内感染者対策」があります。

水際対策

水際(みずぎわ)とは水面が陸地と接している所。つまり、国内には存在しない感染症の病原体や有害生物などの上陸を阻止する意味で使われます。

空港や港などで行われる、検疫や検査などの対策を行い、感染症に感染したおそれのある者に対する入国後の健康状態の確認をします。

日本国民であれば管轄の都道府県知事等に報告した後、対応を検討されます。海外から日本に来た外国人観光客の場合、入国拒否をする場合もあります。

また、指定動物の係留観察、指定動物以外で感染症を人に感染させるおそれがあるものの輸入について衛生証明書を添付して届出させる場合もあります。

国内感染者対策

国の基本指針と都道府県の予防計画により、感染症の発生予防・まん延防止・感染者に対する医療の提供の対策を講じます。

感染症法に基づいて、政府は医師または病院から対象の感染症を診断した際に、最寄りの保健所に届け出の提出を求め、感染症の発生や流行、まん延を防ぐための対策や、医療従事者・国民への情報提供に役立てられます。

水際対策との連携を行いながら緊急時には厚生労働大臣も自ら実施します。

国民の感染症対策

感染症の対策においては政府主導のもと、国内での健康被害を最小限に抑えることが必要なことはもちろん、医療機関の感染者に対する取り組み、そして、国民一人ひとりが、手洗い・うがい、マスクの着用、咳をするときのエチケットなど、できる対策をしっかりやっていくことが大切です。

「うつらない」だけでなく「うつさない」配慮が必要と言えます。

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