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自由診療と保険診療の違い

Q. 自由診療と保険診療の違いは何ですか?

医療費割合の違い

国の定める診療には「保険診療」と「自由診療」があります。

一般的に患者が行う治療は健康保険が使える「保険診療」を利用します。治療費割合は年齢により異なりますが6歳以上70歳未満においては3割負担で治療を受けることができます。 保険治療は、日本の国が定める制度であり、一定水準の治療を受けることができます。

保険治療の自己負担割合
6歳(義務教育就学前)未満:2割
6歳から70歳未満:3割
70歳から74歳以下:2割(※現役並み所得者は3割。)
75歳以上:1割(※現役並み所得者は3割。)

一方、保険診療外の治療費のことを「自由診療」または「自費治療」と言います。自由診療は保険外診療と定義され、治療にかかる費用はすべて患者負担、つまり10割負担となります

保険治療は最低限の範囲内でしか治療を行えないのに対し、自由診療は最先端技術または美容技術を取り入れた治療まで行えます。

注意点としては、日本の医療制度では、保険医療機関において行う疾病に対する一連の医療行為において、保険給付外診療(自由診療)を併用した診療は認められていません。同一の疾患に対して健康保険または国民健康保険などの公的医療保険による治療と自由診療の治療を行った場合は一連の治療とみなされ、公的医療保険は適用されず全てが自由診療となります。

自由診療の種類・一覧

自由診療で有名な治療の1つに歯の治療があります。

審美歯科治療、矯正治療、インプラントなどは保険治療では行えません。

審美歯科治療

審美歯科治療とは、歯や口元の美しさに焦点を当てた総合的な歯科治療であり、ホワイトニング、オールセラミッククラウン、ラミネートベニア、メタルボンドなどが該当します。一般治療にプラスして、より白く・歯並びを綺麗に揃える・歯の形を良くするなど、美しさも求める治療です。

矯正治療

矯正治療とは、歯並びが悪いことで起こる悩みやトラブルを解決することを目的とした治療です。日常生活に支障をきたす場合においては「厚生労働大臣が定める53の疾患」により健康保険が適用されますが、一般的な症状では自由診療となります。歯並びが気になる人、発音が悪い人、食べ物がうまく噛めない人などが治療します。

インプラント

インプラントとは、歯を失った部位の顎(あご)の骨に人工の歯根を植え込む手術を行い、歯を作ることにより噛み合わせと見た目を回復する治療です。見た目もとてもきれいに見えるので、審美的な観点でもメリットがあり、入れ歯のようにとったり外したりということもありません。芸能人でもインプラントをしている人はよく見かけます。

自由診療は歯の治療以外でもたくさんあります。

がん検査

早期の胃がんを除いたがんの診断において、PET検査は保険適用の対象になりましたが、健康な人が健康診断を目的に検査を受ける場合は保険適用外の自由診療となり、自己負担になります。

がん治療

がんの治療は、同じ治療法でも発症するがんの部位によって公的医療保険の適用範囲が異なるため、自由診療となるケースがあります。日本ではまだ承認されていない抗がん剤治療も保険適用外です。

人工授精

不妊治療には「人工授精」と「体外受精」があります。

「人工授精」は採取した精子の中から運動が良好な精子だけを選別・濃縮し、タイミングに合わせて子宮に入れる技術です。人工授精は1回あたりの治療費が1~3万円程度です。保険適用外の「自由診療」となります。

「体外受精」は良質な成熟卵を多く採取し、受精させて初期胚もしくは杯盤胞まで育ててから、子宮に戻す技術です。政府は、2022年4月から不妊治療に公的医療保険を適用する方針を固めました。

レーシック手術・治療

レーシックは裸眼で物を見ることを目的とした手術であり、眼鏡やコンタクトレンズから開放されることが期待できます。 角膜をエキシマレーザーで削り、角膜のカーブを変えることによって屈折異常を矯正する手術方法の一つです。保険適用外の「自由診療」となります。

AGA治療

AGAとは「男性型脱毛症」といわれる進行性の薄毛で、男性の4人に1人が発症するといわれています。加齢現象の一つとしてあきらめる人もおおかったのですが、継続的に受けることで、人によっては改善を期待できる場合もあります。保険適用外の「自由診療」となります。

包茎手術・治療

真正包茎の方は衛生面を考慮し手術を受ける必要がありますが、生活に支障をきたす状態でない限り、保険適用外の「自由診療」となります。仮性包茎の場合、手術する必要はありませんが自由診療で治す人もいます。病院やクリニックの中には保険診療を受け付けている場合もあります。

自由診療の治療費トラブル

自由診療を行う上で気を付けなければいけないのはお金に関する問題です。

保険診療の場合は、どの病院やクリニックで診察してもほとんど同じ治療費となります。

しかし、自由診療の場合は、病院やクリニックごとに治療費の設定をしているため、大きな差があるのが特徴です。同じ治療であっても高い、安いがあるのです。

つまり、自由診療は診療を行う医療機関と、診療を受ける患者との間で個別の治療や治療費に関する契約を行い、その契約に基づいて行われる診療ということです。

診療中断や保険診療に戻す場合や、治療後に患者からクレームを受けた場合など、双方が納得できなかった場合は医療訴訟にまで発展することもあります。

何の問題も、不満もなく治療が終了すればトラブルになることはありませんが、思い通りにいかなかったときはトラブルに発展する可能性があるのが自由診療のデメリットです。

どちらが悪いというのは状況により異なります。

病院側が悪いと判断される場合は、患者に対する説明不足による義務違反とされた時です。

患者側が悪いと判断される場合は、「効果がない」「説明がなかった」など、後になって文句をいう場合です。他には支払い能力がないのに治療を行った時などです。

自由診療の場合、どうしても保険診療よりも高額になるため、患者の要求度や期待度も高くなる傾向にあり、医学的に不可抗力と評価される被害についても厳しいクレームなどが生じやすいことがいえます。

納得した上で同意する

近年広く使われるようになった言葉に「インフォームド・コンセント」があり、治療や臨床試験・治験の内容についてよく説明を受け十分理解した上で、患者あるいはその家族が自らの自由意志に基づいて医療従事者と方針において合意することを意味します。

患者または家族は治療についての説明の内容を十分に理解できていない、または治療において患者または家族の権利を尊重できていないことなど、十分な合意形成ができないまま、医療が提供されることを防ぐ考えです。

医療行為において強い立場にある医師が、弱い立場にある患者のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援することをいうパターナリズムという医療業界の反省を踏まえ、患者側からの意思を尊重する考え方である「インフォームド・コンセント」が広まりました。

この、「説明を受け納得したうえでの同意」することが大切です

周りで同じような症状で自由診療を受けた人がいれば別ですが、ほとんどの場合、無知の状態で説明を受けるため全てを理解することは困難です。

また、自由診療は質の高い治療というイメージを持っている人もいますが必ずしもそうではありません。

「自由診療の高額な治療であれば効果も高い」、ではなく保険適用ができない治療であるために自由診療となっているケースもあるのです。

保険診療と自由診療を扱っている病院やクリニックで治療を受ける場合は、保険診療の範囲で治療ができるのか、自由診療の範囲でなければ治療ができないのか、その都度確認し説明を求めることが大切です。

そして、自分自身がどの範囲の治療で納得できるのかをもう一度考え、冷静に判断することも大切なのです。

保険診療で通うつもりが医師の言うままに自由診療になる場合もあります。いったん高額な治療を始めてしまうと、効果を実感できていなくても、その治療を中断することができなくなってしまいます。

法に抵触する場合には、契約の無効・取消し等が生じる場合もありますので消費者センター等に相談してみてください。

一つ言えることは、「治療が思い通りはなかった」「想像以上に高額の医療費を請求された」など、嫌な思いをするのは患者自身です。保険診療、自由診療どちらで治療するにしても、納得して臨むことです。

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