厚生労働省が2019年に調査をしたところ、全国47都道府県で約320万人もの医療従事者がいることが明らかとなりました。このうち約70パーセントの約240万人が看護師であり、昨今では女性だけでなく男性の割合も増加傾向です。以前は医者のサポートをしつつ、患者の身の回りのお世話をすることに重きを置かれていた職種でしたが、現在では単独の判断で医療を実施できる権利も持つエキスパートです。個人クリニックから大学病院に至るまで、色んな医療施設で必ず必要な職種ですが、ここでは詳しく病院とクリニックの業務の違いや、仕事内容、給料、残業の違いなどをご紹介していきましょう。小学生の女の子が将来なりたいお仕事で、毎回トップ3に入っている職種です。これから目指そうという方の参考になれば、幸いでございます。
まず簡単に、看護師が日本で誕生した歴史を見ていきます。現在のスタイルが確立されたのは大正時代であり、ナースという言葉はドイツ語です。国内で看護師が配備されるのに尽力をしたのが森鴎外で、彼がドイツのミュンヘンで医学を学んだ時に看護制度も国内に広めたというわけです。女性が多い職種なのは第一次世界大戦時の従軍医療団が女性だったからであり、その名残りを引き継いでいたわけです。日本では1945年から国家資格として採用され、さらに1970年に正・准看護婦という2つの資格に分かれました。もともとは看護婦という呼び名となっており、30代以上に方なら、「看護婦さん」と呼ぶ方も多いものです。ところが2001年の働き方改革で男女で呼び名を変えないようにすることを、厚生労働省で取り決めたので現在のスタイルになりました。保育士も同様で、以前は保母と呼ばれていたものです。この仕事をするためには、中学または高校を出たから2年間専門学校に進学をしないといけません。基礎医学から看護・介護学をまなんだのち、毎年1月に実施される国家試験で合格をして免許を手に入れられます。なお、准看護師であれば中学を出たから18歳で免許が取れるのに対し、正看護師は必ず高校を卒業してから専門学校にいくので、21歳にならないとなれません。准看護師でも、免許を取ってから実際に業務で4年間病院で働き、再び試験を受ければ免許をとれます。ではここからは、病院とクリニックの業務の違いを見ていくことにします。
まず病院では、必ずと言っていいほど入院施設が存在します。病床数であらわされるのが一般的で、100床以上もあれば地域の中枢医療施設という形で厚生労働省に指定医療機関になるわけです。ここでは幅広い年代の方が入院しており、それぞれ異なった疾病を患って治療を受けているものでしょう。24時間完全看護が基本であるため、その業務を看護師が担っています。以前はこのスタイルではなく、看護は最小限に抑えられていました。そのため、付き添いを親族に依頼する医療機関が大半で、子供や高齢者の患者であれば家族が看病をしないといけませんでした。ところが1980年代以降は、各病院ともに院内感染という大きな問題を抱えることになり、入院患者のみしか病棟で生活ができないように方針を変えます。さらに、医療従事者を志す若者も増加したことで、十分な看護を実現できる環境が整ったわけです。今では面会すらも週1回程度に制限をしており、手を尽くした看護をなされています。つまり、病院で勤務をしたら、病棟勤務もあって24時間の業務を担わないといけないわけです。3回交代が基本で、早番・日勤・遅番と医療施設では表記をなされます。個人クリニックなら病棟がないので2回交代の勤務となり、夜勤はありません。
次に、仕事内容、給料、残業の違いなどの概要に触れていきましょう。仕事内容は病院、クリニックでは大差はありません。患者の傷や病気の観察をおこない、それを簡単にメモにまとめて担当医に報告をします。さらに処置というものもあり、点滴や投薬・レントゲン装置の操作などが当てはまります。病棟勤務だと介護も含まれるので、この点が唯一の違いです。給料は病院勤務の方が高く、平均月収が約36万円です。それとは異なり、個人クリニックだと基本はパートという雇われ方になるので、時給1,200円が全国の相場でした。パートなので1日4時間程度の業務で月収は約20万円です。高い報酬を望むのであれば、病院で勤めるのが賢明でしょう。残業に至ってはどちらの職場でも存在はしますが、個人クリニックでは長くても1時間程度です。その理由は必ず決まった時間に閉院をするので、それ以上長く施設に留まる必要がないからです。しかし、病院は24時間稼動をしており、急患もあらわれることがあります。決まった勤務時間であっても人手が足りなければ応援にまわらないとけないので、12時間以上も現場で働く方も大勢います。つまりは多く稼ぎたいのであれば病院勤務、マイペースに働きたいのであればクリニックといったところでしょうか。